私は巨大な映画館のような所にいる。大橋巨泉に似た黒ぶち眼鏡の男が司会をしている。この脅威の映像は〜云々といかに映画造りが困難を極めたか、壮大なストーリーを持つ素晴らしい映画かをくどくど語っている。結局映画を観る前にメイキングを見ることになる。スクリーンに映像が映る。近未来的な白い部屋のセットは巨大な宇宙船の中のようにも見える。部屋の真ん中に3本の長いレールがあり、中央に黒いカメラがすえつけてある。スターウォーズにでてくる小さな少年がその前に立ち、躯体が白いアンドロイド様のものが両脇に少し遅れて立つ。「アクション!」という声がかかり、カメラと少年とアンドロイドがレールの上を滑り始める。少年はサーフィンのように何かバランスの悪いものの上に乗って進んでいるような演技をしている。「カーット!」という声がかかると全部の動きが止まり、男の子はレールの淵から降り、自分の右にいたアンドロイドに、「ダメだよ、このエアウォーカーが悪いんだ、それにさ、あそこに女の子がいて僕の邪魔をするんだよ、ちょっと話をしてくる。」と言って"エアウォーカー"と呼んだ黒い板状のものを片手でアンドロイドに投げて渡す。アンドロイドにはそんな女の子は見えなかったらしく、やれやれ、といった風情で受け取る。男の子が途切れたレールの延長線上を進んでいくと、そこは周囲が黒い空間で、そこに白い輝くドレスを着た白い髪と白い肌と金の目をもった華奢な少女がいた。「きみのせいで気が散っちゃうんだ、僕の訓練の邪魔をしないでよ。」と男の子が言うと、少女は「あなたには私が見えるのですね・・・でも私はわたしの意志でここから動く事は出来ないし、わたしの意志で現れる事も、消える事も出来ないのです。全てのものには定めがある。」と言う。「きみは自分の力を信じていないんだ、本当はきみだって僕と同じように動ける、きみが自分を信じないから、きみには出来ない。」と言う。その少年の姿はいつの間にか黒い服に茶色い帯をしめ、短い髪をした長身の少年の姿に変わっている。その言葉と瞳には強い意志が込められていて、見ている私は(あ、これは今とても何か大切なものを見ているのかもしれない)と思い、もっとしっかり頭に入れようと意識する。すると白い服と黒い服の2人はこちらを振り向き、すべてが真っ黒になる。
あっ、まって、と思う。
そしてそれと同時に目が覚めた。



最初はメイキングを見ていたのに、メイキングそのものが実は映画で、それがいつしか目の前で起きる夢の中の私の現実になる、と変化していく、(しかもその変化に違和感を覚えない)というのは夢の持つ特性ですね。そういうところでは「おかしいな」とは思わない。それを傍観していて心の中で何かを感じただけでストーリーに影響がでて、しかも途中で途切れて目が覚める、なんて、こういうパターンは初めてのような気がします。夢がコントロールできたわけじゃないけど、夢は私に一方的に何かを見せているだけではないのかもしれない、と、少し夢がいつもより自分に近しくて親しいものに感じられました。
夢の中の2人の登場人物のセリフは、実は正確ではありません、何故か目が覚めたら、夢の構造はしっかりと覚えていたのに、セリフは(夢の中でまで"大切な事かもしれない"と感じた癖に)ぼんやりとしか覚えていないのです。まあ、大体の主旨は変わっていないと思いますが・・・。
因みに私が最初に見た男の子は、Mさんによると、スターウォーズのエピソード1に出てきたアナキン・スカイウォーカーで、後に見た短髪の黒い服を着た少年はエピソード2に出てきた、(成長した)アナキン・スカイウォーカーだそうです。(スターウォーズは一応観てはいるのですが・・・あ、映画館で見たのは連れて行かれたエピソード1,2だけだけど・・・全くちゃんと観てないし、見せ方が時系列ではない点においてちゃんと観る気のない私をひどく混乱させ、いつもMさんの説明を必要としてしまうのです。)そして、白い服の白い少女はミヒャエル・エンデの「果てしない物語」の中に出てくるファンタージエンの女王、幼ごころの君でした、私が本を読んで想像した。でもそれではどんな人物像か判らないだろうから、一応、映画のネバーエンディングストーリーに出てきた彼女を想像してもらってもかまいません。(それはあまり一致するものではありませんが、本を読んで私が想像した姿を文字にして説明するのはあまりにも難しい作業なので。)私は1しか観てないので1の方の女王様で。(確かキャスト全然違ったんですよね、続編は。)
こうして整理してゆくと、この夢は其々の作品(スターウォーズネバーエンディングストーリー)の内容も包括している、ということになり、(夢の中でのアナキンの変化とか。)私にとっては(いみじくも夢の初めで大橋巨泉もどきが語ったように)恐ろしく壮大な内容だった、ということになるかもしれません。あくまで、私にとっては、ですけど。そしてこの夢をこれ以上自力で掘り下げるのはやめたほうがいいような気もします。代わりに「はてしない物語」をもう一度読む事にするとしましょうか。前回読んだのは多分高校の初めの頃だと思うから、もし読んだらそれは本当に久しぶりの体験になるでしょうし、理解も大きく変わるでしょうね。ちょっと楽しみ。だけど集中力のあまりない今の私に、あれを読み下す能力があるかちょっとだけ自信がありません。