リュウのこと

部屋に横たわるリュウ。せめて・・・。

ここに書くかどうか迷ったのですが、実家の愛犬「リュウ」が今朝から立ち上がることも出来ない程弱ってしまいました。
先日家から脱走し、それを大阪で聞いた私は遠くからずいぶん心配していたのですが、その話と同時に、彼女が乳腺筋腫に罹っている事、後ろ足に浮腫が出て歩き辛そうにしていた事などを知らされることになりました。戻ってきたという知らせを聞いた私は安堵と共に、『一度リュウの顔を見に帰ろう。』と思い立って、今回の帰省になった訳です。

対面した彼女は夏に会った時と、全く様子が違っていました。腫瘍は全身に転移し、原発だった乳房周りは腫瘍そのものが表に出て異様な臭いを漂わせています。体は痩せ細り、目の力が弱く、歩くのも後ろ足を引きずり、兎に角辛くて仕方ない様子なのですが、それでも私の姿を認めると、(難儀そうではあるものの)ゆっくりと小屋から出てきて、尻尾を振って撫でる手を一舐めして、またゆっくりと小屋へ戻っていきました。

その様子に随分衝撃を受けましたが、14歳という歳を考えると、いずれは覚悟しなければならない事と、すぐに感傷的になる自分の心を諌めていました。


今朝。母が様子を見に行くと、明らかに昨日までと様子が違っていたそうです。
どうしても、立ち上がれない。体が痙攣して、大きな息をする。目が落ち窪んでいる。臭いに寄せられて来る蝿を追い払う事も出来ない。

心配して傍に行くと、しっかりした所を見せようとするのか、立ち上がろうとしたりしますが、その細った足は更に痩せ細った体を保持することができず、ばたりと倒れてしまいます。夕方には、それすら出来ず、横になっています。
思わず涙が勝手にこぼれ出すと、逆に「どうしたの?」という目で私のことを見つめ返します。痛いはずなのに鳴きも唸りも暴れもせず、じっと耐えているのが逆に痛々しい。一体どうして欲しいのか、長い事一緒にいた筈なのにそんな事も判らず、結局「自分だったらどうして欲しいだろう」と思って、傍で静かに小さく声をかけながら足を軽くぽんぽんとたたいてやると、だんだんと目を細めて眠りました。
自分で非常に感傷的になっているのは自覚していて、自分の自己満足に彼女の苦しみを利用してはいけない、と強く思います。しかし、感情を同化させようとしたり、気持ちが暴走したり、涙が勝手にあふれたりするのをどうしても止めることが出来ず、情けなく思います。

本当の、覚悟をしなければならない時が近いようです。


いずれにせよ、このタイミングで実家に戻れて良かった、と思います。そしてそう思う度に、この気持ちは彼女のための気持ちではなく、自分のための気持ちでしかない、とその点だけは間違ってはいけないと自戒しています。


リュウについての日記→id:kuma-neko:20040609#p2
リュウ失踪事件の日記→id:kuma-neko:20041020#p1 id:kuma-neko:20041021#p1