第七回 別府アルゲリッチ音楽祭 室内楽 マラソン・コンサート@大分iichiko総合文化センター 2005.5.22
公式HP→http://www.argerich-mf.jp/
3時に開演、5時に前半終了して6時まで1時間の大休憩、それから8時過ぎまで後半戦。さすが、「マラソン・コンサート」と銘打つだけはあってどっぷりクラシック漬け。これだけ真剣に聞くと集中力の限界、終演後は(時間が長いから、ではなく)ぐったりでした。
<出演>
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、ミッシャ・マイスキー(チェロ)、ユーリー・バシュメット(ヴィオラ)、セルゲイ・ナカリャコフ(トランペット、フリューゲルホルン)、ドン=スク・カン(ヴァイオリン)、清水高師(ヴァイオリン)、カーメル・ブトロス(バリトン)、アレクサンダー・ドーシン(ピアノ)、アレクサンドル・グルニング(ピアノ)、ゲザ・ホッス(ヴァイオリン)別府アルゲリッチ音楽祭弦楽アンサンブル(東京芸大の選抜メンバー) 他
<演奏曲目>
○シューマン:幻想小曲集 作品73
セルゲイ・ナカリャコフ(フリューゲルホルン)、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
○シューマン:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 イ短調 作品105
ゲザ・ホッス(ヴァイオリン)、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
○ブラームス:スケルツォ(F.A.E.ソナタよりスケルツォ ハ短調)
ドン=スク・カン(ヴァイオリン)、アレクサンダー・ドーシン(ピアノ)
○ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115より 第2楽章 アダージョ(ヴィオラで)
ユーリー・バシュメット(ヴィオラ)、清水高師、田野倉雅秋(ヴァイオリン)、大野かおる(ヴィオラ)、岩永知樹(チェロ)
〜小休憩〜
○ドビュッシー:前奏曲第1巻より<ミンストレル><亜麻色の髪の乙女>
フリードリヒ・グルダ:プレリュードとフーガ
アレクサンドル・グルニング(ピアノ)
○ショスタコーヴィチ:チェロソナタ ニ短調 作品40
ミッシャ・マイスキー(チェロ)、マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
〜大休憩〜
○ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調 作品57
マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、ドン=スク・カン(ヴァイオリン)、
清水高師(ヴァイオリン)、ユーリー・バシュメット(ヴィオラ)、
ミッシャ・マイスキー(チェロ)
〜小休憩〜
○ジャン=バティスト・アルバン:<ヴェニスの謝肉祭>による変奏曲(ジュナンのヴェニスの謝肉祭による)
セルゲイ・ナカリャコフ(トランペット)ほか
○シューマン:リーダークライス 作品39より「春の歌」「月の夜」「間奏曲」、歌曲集「ミルテの花」作品25より「献呈」 カーメル・ブトロス(バリトン)、アレクサンダー・ドーシン(ピアノ)
○チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
(弦楽四重奏曲 第1番 作品11より)
ミッシャ・マイスキー(チェロ)ほか
○チャイコフスキー:弦楽六重曲 ニ短調 <フィレンツェの想い出> 作品70より 第4楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
ユーリー・バシュメット(ヴィオラ)ほか
オープニングにふさわしく、華やか且つ軽妙なシューマンの幻想小曲集より。久しぶりに聞くセルゲイの生音は相変わらず技巧的なのに上滑りしない奥行きがあり、いいなあ、と再確認。そして私は初のアルゲリッチの生ピアノ。すごい存在感。でも前に前にと出て行くわけでもなく、絶妙のバランス。さすが・・・。
ブラームスのクラリネット五重奏曲は知っていましたが、ヴィオラ版は初めて聴きました。公式パンフレットの解説によると、ヴィオラへの編曲はブラームス自ら行ったらしい。弦楽器の音色がリーフパイのように薄く層を作り、丹精に、繊細に奏でられて、私はこちらの方が気に入りました。
バージョン違いで気に入ったといえば、セルゲイの十八番<ヴェニスの謝肉祭>による変奏曲。これは先日実家近くであった公演でも演奏されたのですが、その時の伴奏はセルゲイのお姉さんのヴェラ・ナカリャコワのものでした。私が持っているこの曲のCDも同じ組み合わせ。今回初めて弦伴奏で聴いたのですが、トランペットの軽妙さが逆に引き立ち、これもこちらの方がいいなあ、と思いました。セルゲイの圧倒的な技巧には相変わらず舌を巻くばかり。しかも技巧ばかりではないところがこの人のすごいところ・・・。
圧倒的といえば、大休憩をはさんだショスタコーヴィッチのチェロ・ソナタとピアノ五重奏曲。正直に言うと、私、ショスタコーヴィッチは難解すぎて解からない所があるのです。が、とにかくとにかくひたすら圧倒されました。この2曲で体力を使い果たしたといっても過言ではない位聴き入りました。ピアノ五重奏曲はアルゲリッチにマイスキー、そしてユーリー・バシュメットのヴィオラと贅沢な顔ぶれ。緻密でダイナミックな演奏。その点ではマイスキーとアルゲリッチによるチェロ・ソナタも同じなのですが、2人の掛け合いにはもっと激しい緊張感に溢れていて、息が出来なくなるような圧倒感がありました。聴き終わったときには茫然自失、ぐったりしてしまい、大休憩に入ってもしばらく動くことが出来ませんでした。
念願だったこの「マラソン・コンサート」本当に今年は好きな演奏者も揃っているし、おのおのの演奏のレベルが本当に高く、満足しないものは無く、なにより一度体験してみたいという念願叶って大満足です。来年も、その次も、と言いたいところですが、なかなかアクセス不便ということがわかったし、そう毎年は行けないかな・・・でも、また、必ず参加したいです。いい経験をしました。