セルゲイ・ナカリャコフ トランペット・リサイタル2005@県立劇場

セルゲイとお姉さん

彼の名前は一応知っていて、顔も一応知っていて、それ故に「お顔で人気の人ね。」と勝手にラベリングしていました。だからそれ以上の事は逆に知る事も無く、肝心な音に接したことも無かったのですが。。。
  ←こんなお顔。
昨日、リサイタルがある事、一番安い席がまだ余ってるらしいことを知ってほんじゃまあ行ってみようか、と。「CD買うくらいならLIVEに行け。」と言う私作格言に基づき。ちょうどCD一枚分のチケットを窓口で買って後ろから数えた方が早いくらいの、でも中央の席で(そういう席でも音は十分に良いのですよ)。

これが、まあ、なんというか、見事に予想を裏切られました。素晴らしい!!
演目は以下のとおり

〈ピアノ〉ヴェラ・ナカリャコワ(←セルゲイのお姉さんです。)

トルチンスキー: カプリッチョ〈トランペット〉
ナカリャコフのためのオリジナル曲、世界初演!
ショパン: バラード第4番ヘ短調〈ピアノ・ソロ〉
ベートーヴェンモーツァルトの歌劇「魔笛」の
「愛を感ずる男たちには」の主題による7つの変奏曲変ホ長調 Wo0.46
〈フリューゲルホルン〉
ベーム: タランテラ〈トランペット〉
シューマン: 3つのロマンス Op.94
〈フリューゲルホルン〉
シューベルト(リスト編曲): 12の歌より「水に寄せて歌う」
〈ピアノ・ソロ〉
スクリャービン: 「3つの小品」より第1曲練習曲嬰ハ短調Op.2-1
〈ピアノ・ソロ〉
スクリャービン: 「12の練習曲」より第12曲「悲愴」嬰ニ短調
〈ピアノ・ソロ〉
プーランク: 愛の小径〈フリューゲルホルン〉
ゲディケ: コンサート・エチュード〈トランペット〉
アーバン: ヴェニスの謝肉祭〈トランペット〉

◎リクエスト◎
シューマン: 小さな子供と大きな子供のための12の連弾小品より「夕べの歌」Op.85-12
チャイコスフスキー: 6つの歌より「ただ憧れを知る者だけが」Op.6-6

先ず謝らなくてはならない事は、トランペットという楽器に対する私の偏見。ピアノやチェロ、バイオリン、サックスなどに比べて「歌えない」楽器だと思っていたのです。昨日の公演を聴いてはっきりと過ちだと知りました。フリューゲルホルンで演奏されたシューマンの「3つのロマンス」の優美さ、甘美さ、ブーランクの「愛の小径」の哀愁。トランペットってこんな楽器だったのか、とまで思わされました。開眼。
次に謝らなくてはならない事は、彼を「ルックスで人気のあるぽっと出のちゃらちゃらした子供」と思っていたことです。失礼を承知で素直に書きます。本当にごめんなさい。クラシック界でこのルックスがあれば「話題性十分」ですものね、私のようにそれ故聴かず嫌いの人間もいるかも知れない。あれだけの実力があるのですもの、かえってあの甘いマスクは邪魔になるかもしれない・・・。もちろん顔は悪いより良いがいいに決まってますが(私の中では。)存外、彼自身も疎ましく思っているのかもしれません。
技巧を語るなら昨日はアーバンの「ヴェニスの謝肉祭」などは最高。昨夜のリサイタルでも最後に演奏され、会場のあちこちから「ブラヴォー!」の声があがっていました。
今は昨日買ってきた、彼が15歳のときに録音したという盤を聴いています。やはり「ヴェニスの謝肉祭」ではその圧倒的なテクニックにニヤニヤしてしまうほどですが、次のラヴェルの「亡き女王のパヴァーヌ」では聴かされ、聴き惚れてしまうのです。コルサコフの「熊蜂の飛行」も圧倒的。おすすめです。
いやあ、昨日は本当にちょっとした思いつきでしかなかったのですが、聴きに行ってよかったなあ。。。

主催元HP http://www.officemusica.com/nakariakov.html
ヴェニスの謝肉祭~ミラクル・トランペット  昨日のリサイタルを思い出しながらにやにやしつつのBGM:セルゲイ・ナカリャコフヴェニスの謝肉祭~ミラクル・トランペット』
今日はお顔に免じて特別に大きいサイズで(笑)。15歳ってあどけない・・・。