なかなおり
Mさんがいる週末。一人じゃない事、なにより一緒にいられる事が嬉しくて。でもきっとそういうのは重たいと思います。私もどこかでそれを解かってはいるのです。が。
そんな気分のふてくされを発端に「けんか」の火花は簡単に散ります。理屈っぽい私達の場合、たいていは「けんか」ではなく『議論』『討論』になるのですが、そう冷静に保とうとするチンケな自分のプライドがまた悲しかったりして。
江國香織のエッセイの中で一番好きな「いくつもの週末」の中に、けんかと仲なおりについてこんな文章があります。
仲なおりは、けんかのなかでもいちばんかなしい、いちばん絶望的な部分だと思う。
〜略〜
仲なおりというのはつまり、世の中には解決などというものはないのだ、と知ることで、それを受け容れることなのだ。それでもそのひとの人生からでていかない、そのひとを自分の人生からしめださない、コースアウトしないこと。
まったくね。
そんな埒のあかない『議論』をして、私は気分がもやもやしたまま表面だけ取り繕って一緒に部屋の掃除を続けていて、いよいよやっとひと段落着くかというところで、Mさんは我が家の小さなベランダに小さな椅子と机をさっさと出して私を座らせ、「赤ワインをちょっと冷やしておいたからがんばったご褒美に飲もう。」等と言うのです。もうお手上げ。悔しいけど、冷静な顔をしていたいけど、私の顔はきっと誰から見ても嬉しそうな表情になってしまうのです。
あーあ。だめだなあ。
- 作者: 江國香織
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 1997/10
- メディア: 単行本
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