眠れないから諦めた

私の睡眠障害は今に始まったことではありませんが、一つに組み合わせの悪さ、というものがあると思います。Mさんはそりゃあそりゃあもう「ノビタ」の称号を与えるにふさわしく枕に頭を付けた途端に高いびきなのですが、今日の私は出来るだけ難解そうな美術書(しかもわかりもしない英訳部分をあえて)を読んだり、アヴェ・マリアコンピを一枚聴いてみるとか色々やってみたいんですがダメでした。もう眠くなるまでどうにでもしろって感じです。
10年間聴き続けたMさんの高いびきは、眠れない私の神経を確実に刺激するものがあり、時にはMさんに、時には自分にへと照準がぶれまくった殺意を抱くものでもあります。たとえそれが愛すべきものであっても。Mさんのことなら大抵好きなほぼ盲目な私であっても。そんな大げさなといわれるかもしれないけれど、わたしはどこかで聞いた「眠りは小さな死」(確かそれはもう少し色気のあるセクシャルな話だった気がするのですけど)という言葉に対し「全く!」と感服しておるので、先に死んだMさんには腹を立ててしまうのです。


だってあのひと、「わたしより『絶対に』先に死なない」って約束したのに。

うそつき。


でもまあそんな事を言ったってMさんだって私の代わりに仕事をしているのだし疲れているのだし仕方ないのです。それにあの人が眠くなったらもう病的に眠りに引きずり込まれるのだから。わたしがなかなかその世界に入れてもらえないのと同じように。

わかっているんだけど。隣で横になっていると、ますます眠れない気がしてかなーしくなります。一緒にくっついて眠る幸せを全く知らないわけじゃないから。そして一人考える事がどんどん膨らんで悪い方向へ悪い方向へいくのでこうして離れなきゃならなくなるわけです。とても哀しい。

聖なるクラシック  一枚聞き終えたけど心は静まらなんだ就寝のBGM:オムニバス『アヴェ・マリアー聖なるクラシック』