おしろいばなのいばらひめ

kuma-neko2006-09-19


それが『おしろい花』と呼ばれる由縁を話した時にはまだ鮮やかな花ばかりを誇っていました。今日慌ただしく、家の前の緑道にその故なる黒いまあるくて硬い粒を見つけた時に、ああ、もうこれで教える機会を逸してしまったんだ、と胸がつんとしました。ひと粒手のひらに取って割って中身を塗って。季節は待ってくれないから残酷だと思います。
来年またこの季節が訪れた時に、私も彼もこの話を覚えているでしょうか。季節より人間の記憶の方が残酷?
来年を一緒にむかえられたらよいのだけれど。そしてきちんと思い出して、胸に刺さったままの棘が抜けたらきっとそれこそ幸い。